プロジェクト運営の命綱 コミュニケーション

Qiitaコミュニケーション Advent Calendar 2016の22日めの記事です。

株式会社ウィルグループのクロステクノロジー部というチームで開発マネージャーをしている野口です。VideoSpaceの開発をやったり、最近は新規サービスで毎日GoとAngular2とDockerのクラスタリングと戯れております。

さて、早速本題に入っていきたいと思います。

開発チームにおいて、というよりビジネスにおいてコミュニケーションは最大の命綱と呼んでも過言では無いと思っています。少し長いですがその辺について書いていきたいと思います。

今回は2部構成で考えています。

1部
まずは、普段から自分の中で意識しているコミュニケーションに対する基礎であるシャノンとウィーバーのコミュニケーション理論と、ドラッカーのコミュニケーション4原則について

2部
実際の開発現場におけるコミュニケーションにまつわる経験や改善についてお伝えしたいと思います。

1部

シャノンとウィーバーのコミュニケーションモデル

まずはコミュニケーション理論の礎と言っても過言ではないこの理論について、だいぶ省力してですが説明させて頂きます。

深追いしていくとかなり深い話しなのですが、このコミュニケーションモデルは時代やデバイスを問わずコミュニケーションについての核心であると考えています。
1949年発表とかなり昔の発表になるのですが、その理論は今でも色褪せること無く通用する内容です。

シャノンもウィーバーもアメリカの科学者です。(興味あれば詳細はWikiで!)

シャノン(クロード・シャノン)
デジタル回路設計の創始者であり、情報理論の考案者であり、コンピュータ技術の基礎を作り上げた偉大な科学者です。

ウィーバー(ウォーレン・ウィーバー)
機械翻訳の第一人者であり、数学者として名を馳せていました。

元々は人間のコミュニケーションについてのモデルではありませんでした。
電気通信とか数学的アプローチからこの観点が生まれたのですが、広くコミュニケーションに対して応用可能です。

どういう事を言ってるのか?

・情報伝達は主に6つの要素で構成されています。
・送信者が送った情報が受信者に伝わったタイミングをもってコミュニケーションが成立したとみまします。

ものすごく分かりやすく簡潔に書くとこういう感じになります。

コミュニケーション図1

1.情報発信者
情報を発信する者

2.発信機
情報を発信する機器

3.チャネル
発信者からの情報を受け取って受信者へ仲介

4.受信機
情報を受信する機器

5.情報受信者
情報を受信する者

6.ノイズ
情報伝達を妨害するモノ
この図にはありませんが、例えば使ってるチャットサービスのサーバーダウンや、ネットの回線ダウンなどが挙げられます。

1949年発表の理論ですが、時代を越えて使い続けられますよね?
逆に時代を遡る事も可能で、戦国時代でもこの理論は使えます

コミュニケーション図2

ココで言いたいこと
恐らく脳波に直接働きかけられるとか、そのレベルまで情報伝達が進化しない限り、このコミュニケーションモデルの基礎はまだまだ使い続けられると思います。

情報伝達の本質は送信者の情報が受信者に正確に伝わったか?であり、そこが最低限担保できていればコミュニケーションとして成立します。逆に、いくら精巧な資料を作ったりプレゼンが行われたとしても、発信者の意図が受信者に伝わっていなければコミュニケーションとしては全く成立していないという事になります。

そして、コミュニケーションの大きな概念はこの流れに沿っているので、この流れを壊してしまうと正確に情報が伝わらなくなってしまう可能性が高いです。

ドラッカーのコミュニケーション4原則

ドラッカー大先生もコミュニケーションについて話していて、これも大いに役立ちます。

1.コミュニケーションは知覚である

「相手を考慮した上でコミュニケーションを取りましょう」という事です。

自分と相手が知ってる事柄や思想が全く同じという事は考えられないはずです。
読んできた本も勉強してきた学問も人それぞれですし、解釈が違う場合もあります。

もっと広い範囲ですと、話す言語も違います。
「Hey!」「Excuse me!」くらいなら呼び止められているなあと分かりますが、インドネシアの西ジャワ州で話されるスンダ語で呼び止められても多分立ち止まらないはずです。

これは極端な例ですが、人と人とがコミュニケーションを取る場合において、必ずしも自分と同じであるという認識は捨てて、相手に寄り添って、コミュニケーションを取る事が大事です。

エンジニアが非エンジニアの職種の方に対して、やたら専門的な技術用語で話をするのは典型的なバッドプラクティスです。

また、ソクラテスは「大工と話すときは、大工の言葉を使え」とも説いていたりましす。

相手の立場に立ってコミュニケーションをとる事は極めて重要です。

2.コミュニケーションは期待である

「相手の期待にそいましょう」という事です。

スマートフォンの機種変更に行ったとしましょう。新しい機種に変えるので気分はワクワクしています。しかし、価格や費用の説明を聞いていたら、途中でよく分からないキャリアのオプション加入を勧められた事ありませんか?

期待していたのは新しいスマートフォンの購入であって、自分にとってほとんど得の無いキャリアの謎のオプションではないはずです。
仕事柄勧める必要があるのは承知なのですが、期待と違う事が発生すると人間はがっかりしてしまいます。

3.コミュニケーションは要求である

「相手が何を求めているのかを考慮しましょう」という事です。

彼女がクリスマスにオシャレなところで食事したいなーとアピールしてきています。
明らかに要求は「クリスマスにオシャレなところで食事する」です。

しかし、それに対して「クリスマスはマクドナルド行くから」
と伝えたらどうなるでしょうか?恐ろしい事になりますね(笑。

コミュニケーションには何らか目的なり要求がある事がほとんどです。そこを考慮してコミュニケーションを取るようにしましょう。

4.コミュニケーションは情報ではない

はじめ何言ってんだ?と思いましたが、さすがドラッカー大先生は奥が深いです。
ここがコミュニケーション4原則の集大成ではないかと思います。

ドラッカー曰く、コミュニケーションとは
「思想、意見、情報を伝達しあい、心を通じ合わせるプロセスである」
との事です。

つまり、事務的に言った、伝えたとかじゃなくて、相手と共通の経験を持って心を通い合わせましょうという事です。

この言葉を初めて見た時に、オフショア開発の経験が何度かありますが、ブリッジエンジニアと数名以外言語の意思疎通は難しいのですが、プロジェクトを続けていると一体感とか仲間意識が出て来るのは、こういう事なのかと腹落ちした次第でした。

1部のまとめ

このように、コミュニケーションや情報伝達には原理、原則が存在しています。
もっと他にもパターンはありますが、今回は自分が常に意識しているこの2つをご紹介しました。

これらはとてもシンプルで、テクニカルな事ではなくて単に情報を伝える側、受ける側がお互い寄り添って情報を伝達して、コミュニケーションを深めていくのがあるべき姿では無いかと思います。

多少の言葉足らずや情報不足で揚げ足を取るのではなくて、人と人との温かさや優しさがあればコミュニケーションは良いものになっていくのではないかと思っています。

近年色んな情報伝達の仕組みがありますが、情報が伝わらないとか、分かりにくいというのは結局のところどんなに便利になっても基本的な思いやりが欠けていると伝わるものも伝わらないのではないかと思います。

2部

表情と声のトーンの重要性

生物は何らかコミュニケーションを取って生きています。
私達も仕事ではチーム内、チーム外、プライベートでは友達、恋人、家族、もっと言えばペットでも何らかコミュニケーションをとっています。

ここで、ペットとか関係なくないか?
と思った方いらっしゃいますか?

実は大いに関係あります。

フロントエンジニアAさんにUXデザイナーBさんが
「すいません、こっちのほうがユーザー導線良さそうなんで変えてもらう事できますか?」

と質問したとします。

この時にAさんが目もみないで不満げな顔で低いトーンで

「いっすよ」

と言うのと

顔を見て笑顔で

「いっすよ」
と言うのでは大きな違いがありますよね?

これはとても大事な事で、犬や猫も言葉の通じない赤ちゃんでも生き物は声色や顔、仕草をものすごーくよく見ています。
同じ情報をやりとりする時でも顔の表情や声のトーンはすごく重要です。

仕事していれば忙しいとか、疲れているとか色んな要因があると思いますが、本当に怒らなくてはいけないようなシチュエーションのほうが圧倒的に少ないはずなので、可能な限り「表情は穏やかに」「声のトーンは優しく」「顔をあげて」コミュニケーションを取るようにしましょう。

エンジニアであれば誰しも「あー、ぶっきらぼうに返しちゃったな・・・。」と心で後から後悔する経験があるかと思います。
それが通じるっちゃ通じる職種ではあるのですが、明るいに越したことは無いと思っています。

パワーバランスについて

今関わっているプロジェクトでどんな立場ですか?
もし、社歴が長いとか、業務上意見が通りやすいポジションだったり、明確にポジションが上だったりでしたらなおさらこのお話しは読んで頂きたいです。

先程ペットのお話しをしましたが、人間は高度な知能のある動物です。ただ、他の動物のように優劣を決めるのに噛み合ったりして決める事はありません。そこには複雑な力が絡み合っています。

・上司
・同僚
・部下
・別の部署の偉い人
・協力会社や派遣会社
・凄腕エンジニア
・新人エンジニア

まだまだたくさんありますが色んな属性があります。
属性によって同じ発言をした場合でも影響力が人によって全く変わってきます。

これによってこういった事が起きる事があります。

・凄腕エンジニアの情報は大した話しじゃなくても有益のように扱われる事があるかもしれません
・協力会社や派遣会社のメンバーの意見はあまり通らないかもしれません
・新人エンジニアは会議でなかなか口を開けないかもしれません

どれも組織に決定的な問題があるわけでなく、集団行動を行う人間であれば必ず起きうる事です。

これの何がもったいないのか?
良い意見が黙殺されてしまったり、意見自体が出なくなる事だと思います。

解決策
立場が上の人ほど気を使う
当たり前ですが、社会的弱者のほうが意見も言いにくいですし通りにくいです。

常に立場が上の人ほど気をつかって意見を引き出してあげましょう。
聞き役に徹する男の人がモテるのと同じ理論です。

また、全員が意見する時はなるべく最後のほうに発言する事も効果的です。
どうしても立場が強い人が先に発言すると、その後の人は強い人の意見に寄せてしまう事があるからです。

少し脱線しますが、入社間もない頃に弊社の会長とエレベータで1対1になった事がありました。
「正直気まずい」と同乗の瞬間から思ったのですが、会長のほうから声をかけてくれました。
大物ほど気遣いが出来るというグッドプラクティスです。

自分が思っている以上に周りの人は気を遣って仕事しているものです。同じように全ての人に気を遣いましょう。

コミュニケーションの型をそろえる

僕達のチームではこんな感じで情報伝達手段を定めています。

・普段の連絡はSlack
・タスクの管理はJIRA
・チームで保存したい情報はConfluence
・毎日のKPT報告はSlack
・週次の報告はJIRA
などなど

どういう時はどの手段で連絡するというルールを厳密に定めています。
業務全般は基本的に臨機応変に良いようにやっていますが、こういうものはキチっと定めています。

コミュニケーションを媒介する手段が固定化しないと、情報共有にミスが起きたり伝達の速度が遅くなるからです。

これまで見た事のあるバッドプラクティスですが、メールで連絡する人とチャットで連絡する人の2パターンが混在するチームがありました。
想像に難くないと思いますが

・送った / 送ってない
・あれ?あの情報チャットだっけ?メールだっけ?

といった時間のロスにつながる事象が多数発生します。

これはかなり典型的な例ですが、この情報はココ!こういう時はコレで連絡!とガチっと決めておくだけで業務は円滑に進んでいくはずです。

あえてコミュニケーションしない

チーム内で決めたルールからちょっとだけ外れたメンバーが居たとしましょう。
ちょっとだけです。決してハードに逸脱してるレベルではないです。

例えば、「作業の完了報告はチャットでと決まっていたのに口頭で報告してきた」というケースがあったとしましょう。

この時どうしますか?注意します?見逃します?
僕は見逃します。

ここでコミュニケーションを取って、注意したところで、たかだかチャットでやるべきことが口頭になっただけです。
それを注意してその人が落ち込んだり、集中力がそがれるのであれば言わないほうがマシです。
さすがに10回くらいやったら言うべきか悩みますが…。

このようにどこかで閾値を設けてコミュニケーションを取る事も大事だと考えています。
割れ窓理論何かもありますが、インシデントにつながるような事案で無ければ何回かはミスしてても黙っておくのも一つの手です。

コミュニケーションには発信者も受信者もコストがかかりますし、大して重要でないルールを守らせる為に労力を使う必要も無いからです。

また、決まったルールから脱線するのはコミュニケーションで解決するのでなく、そもそもその仕組が破綻していたり、その他うまくいかない原因がある事も多々あります。

自分が守れるルールだからと言って他のメンバーがうまいこと守れるとは限りませんし、そこをコミュニケーションに頼って上手いこと進めようとしても歪みだけが生じる可能性も考えられます。

この事からコミュニケーションは決して万能では無くて、あくまで補助であると考えています。

日常的コミュニケーションの重要性

最後になりますが、これが個人的には一番大事なコミュニケーションであると考えています。

話したことも無い職場の女性をいきなりデートに誘う事できますか?

恐らく難しいでしょう。
知らない相手に対して心を開いていないので、警戒心や場合によっては恐怖心を抱いてしまいます。
これは極端な例ですが、コミュニケーションをとる場合、本質だけにいきなり触れても上手く行かないことが多いはずです。

こういうチームの例えはどうでしょう?

・7日くらい会話の無い上司からいきなり仕事の進捗だけを聞かれるチーム
・仕事の話しだけしかしないチーム
・年に1回しか食事をともにしないチーム

やり取りが事務的で、多分うまくコミュニケーションが取れていないチームに見えませんか?
ある日バタバタと人が辞めたり、連携が必要な作業で連絡が漏れそうなイメージがあります。

こうならないためにも、世間話やどうでも良い話しでも何でもいいです、チャットでも会話でも何でも問わないのでコミュニケーションを日常的に取る事が重要ですし、時にはお酒なり食事に行きましょう。

そのほうがミスがあってもオープンになりますし、チームとしての活気が出てくるはずですし、より本心に近いところで仕事が出来ると考えています。

終わりに

ここまで長くなってしまいましたが、経験上だったり日頃のコミュニケーションについて気をつけている事について書いてきました。
コミュニケーションは心理学的、社会学的その他色んな学問的なアプローチがありますが、、コミュニケーションの本質は人と人だと思っています。

伝えたいことがあって、ちゃんと伝わっていれば手段は何でも良いと思いますし、多少うまくいかないことがあっても良好にコミュニケーションが取れていればリカバリーは可能だと思っています。

簡単なようで難しいですが、人と人とのつながりを毎日丁寧に積み重ねていきましょう!!

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